偏微分
“偏微分とは「他をすべて固定して、この一方向だけどれくらい急か」ということ。”
数式
z = f(x, y) → ∂f/∂x, ∂f/∂y読み方: 多変数関数において、他の変数をすべて固定したまま x だけをわずかに動かしたときの瞬間の傾き
- ∂
- — 偏微分の記号——「この一方向だけ微分する」
- ∂f/∂x
- — x についての偏微分——y を定数として扱ったときの傾き
- y
- — もう一つの変数——今回は定数として固定される
きっかけ
丘の斜面に立っています。「東に歩くとどれくらい急か」と「北に歩くとどれくらい急か」は違う数字になります——偏微分は、たった一方向だけの傾きです。
やさしく言うと
二つ以上の変数を持つ関数で、注目する一つの変数以外をすべて固定し、そのうえで普通の微分を行います。
直感
でこぼこした地形 f(x,y) を思い浮かべてください。∂f/∂x は東西方向にだけ進んだときの傾き、∂f/∂y は南北方向にだけ進んだときの傾きです。同じ一点でも、傾きの急さは方向によって変わるので、方向ごとに別々に測るのです。
どう作られるか
やり方自体は普通の微分と同じで、ルールが一つ加わるだけです。微分する変数以外はすべてただの数(定数)として扱います。だから ∂/∂x を計算するときは、y を数の3であるかのように扱います。
例
f(x,y)=x²y とします。y を固定して x について微分:∂f/∂x = 2xy。x² を固定して y について微分:∂f/∂y = x²。点 (2,3) では、∂f/∂x = 2·2·3 = 12、∂f/∂y = 2² = 4。
よくある誤解
∂f/∂x を計算するとき y も一緒に動くと考えたくなりますが、そうではありません——偏微分では y は完全に固定されています。y も x とともに動く場合は、全微分という別の道具で扱います。
どこで使うか
機械学習の勾配降下法(何千もの重みそれぞれの偏微分 = 勾配)、熱や流体を扱う偏微分方程式、経済学の限界効用、物理学の場の計算——多変数の世界はすべて偏微分の上に成り立っています。
どこから来たか
1700年代、オイラーとダランベールが振動する弦や熱の流れを研究する中で、一度に一つの変数だけを微分するという考え方を洗練させました。「丸みを帯びたd」である ∂ 記号は、普通の d と区別するために導入されました。
前提概念
確認問題
f(x,y)=x²y の y についての偏微分はいくつですか?
- 2xy
- x²✓
- 2x
- y
練習
f(x,y)=x²+y² について、点 (3,5) での ∂f/∂x を求めましょう。
答え: 6
- y を定数として、x について微分:∂f/∂x = 2x
- x=3 を代入 → 2·3 = 6
ポイント: 偏微分は一つの変数以外を固定する——あとは普通の微分と同じです。
f(x,y)=x²y について、点 (2,3) での ∂f/∂x を求めましょう。
答え: 12
- y を定数として、x について微分:∂f/∂x = 2xy
- (2,3) を代入 → 2·2·3 = 12
ポイント: x について微分するとき、y はただの数としてそのままついてきます。
f(x,y)=3x+4y について、∂f/∂y を求めましょう。
答え: 4
- x を定数として扱うので、3x は微分すると 0
- 4y を y について微分 → 4
ポイント: 対象の変数を含まない項は定数なので消えます。
∂f/∂x を計算するとき y を定数として扱ってよい理由を、ノートに説明しましょう。
答え: undefined
- 定義:f(x+h,y)−f(x,y) では、両方の項で y はまったく同じ
- x だけが h だけ動く → y は変化しないので、定数として働く
- 幾何学的には「東西方向の断面」を切り取り、その断面の傾きを測っている
ポイント: 定義そのもの——一方向の断面の傾き——が、まさに「他の変数を固定する」ということなのです。