行列式
“行列式とは「この変換が面積を何倍にするか」であり、0なら空間を押しつぶすということです。”
数式
det([[a, b], [c, d]]) = ad − bc読み方: 2×2行列では、変換によって単位正方形の面積がad−bc倍になる——負の符号は向きが反転することを意味する
- det
- — 行列式——変換の「面積の拡大率」を取り出す演算
- a, b, c, d
- — 行列の4つの成分
- ad − bc
- — 2×2の行列式の公式:対角の積から逆対角の積を引く
きっかけ
行列が空間を伸ばしたり歪めたりするとき、行列式は「面積が何倍になったか」を一つの数で答えます。
やさしく言うと
2×2行列[[a,b],[c,d]]の行列式はad − bcです。この数は、行列がどんな図形の面積を何倍にするかを表します。
直感
単位正方形(面積1)にこの変換を施すと平行四辺形になります。その平行四辺形の面積がちょうど|行列式|です。行列式が3なら面積は3倍、0なら図形は線や点に押しつぶされたということです。負の符号は、変換によって図形が裏返された(鏡像になった)ことを意味します。
どう作られるか
ad − bcの2つの項は、列ベクトル(a,c)と(b,d)が張る平行四辺形の面積です。adは「広がり」の寄与、bcは「削られる重なり」——その差が本当の面積です。2つの列が同じ向き(平行)を向いていれば、平行四辺形は面積0につぶれるので、det = 0になります。
例
det([[1,2],[3,4]]) = 1・4 − 2・3 = 4 − 6 = −2。面積は|−2| = 2倍になり、マイナスの符号は向きが反転したことを示します。det([[2,0],[0,3]]) = 6 → 横に2倍、縦に3倍で面積は予想通り6倍です。
よくある誤解
行列式は「行列の大きさを一つの数にまとめたもの」ではありません。成分が大きい行列でもdet = 0になることがあります(例:[[1,2],[2,4]])。重要なのは成分の大きさではなく、2つの列が張る面積(すなわち線形独立かどうか)です。
どこで使うか
det = 0は逆行列が存在せず、一次方程式が一意解を持たないことの目印(重要な判定条件)、固有値を求める特性方程式det(A−λI)=0、積分の変数変換におけるヤコビアン、外積の大きさなど、すべてこの面積の拡大率から生まれます。
どこから来たか
ライプニッツと日本の関孝和が1600年代後半、連立方程式を解く中でそれぞれ独立に発見しました。「行列式」という名前はコーシーが名付けたもので、解が存在するかを「決定する」という発想に由来します。
前提概念
確認問題
det([[2,1],[0,3]])はいくつですか?
- 5
- 6✓
- 7
- 0
練習
det([[3,1],[2,4]])を計算しなさい。
答え: 10
- ad − bc = 3・4 − 1・2
- = 12 − 2 = 10
ポイント: 2×2の行列式は、対角の積から逆対角の積を引いたものです。
det([[2,0],[0,5]])を計算しなさい。
答え: 10
- ad − bc = 2・5 − 0・0
- = 10
ポイント: 対角行列の行列式は対角成分の積=各軸の拡大率の積です。
det([[1,2],[2,4]])を計算し、結果が何を意味するかノートに書きなさい。
答え: 0
- ad − bc = 1・4 − 2・2 = 4 − 4 = 0
- 列(1,2)と(2,4)は平行 → 平行四辺形がつぶれる
- det = 0は、変換が空間を線につぶすことを意味し、逆行列は存在しない
ポイント: det = 0は「面積が0につぶれる」=逆行列が存在しないことの合図です。
単位正方形を使って、det([[a,b],[c,d]])が「面積の拡大率」である理由を説明しなさい。
答え: undefined
- 単位正方形の辺(1,0),(0,1)は変換によって(a,c),(b,d)になる
- それらが張る平行四辺形の面積は|ad−bc|
- 元の面積は1だったので、|det|はまさに面積が変化した倍率になる
ポイント: 行列式=変換後に単位正方形(面積1)が占める面積です。