大数の法則
“大数の法則——1回は運、多数回の平均は法則。”
数式
x̄ₙ = (X₁ + X₂ + ⋯ + Xₙ) / n → μ (n → ∞)読み方: 同じ実験を何度も繰り返したときの値の平均は、試行回数が増えるほど理論上の期待値μに近づく
- Xᵢ
- — i回目の試行の結果
- x̄ₙ
- — n回の試行の標本平均
- n
- — 試行回数——多いほど安定する
- μ
- — 理論上の期待値(真の平均)
きっかけ
コイン投げを10回やると結果はばらつきますが、1万回投げれば表の出る割合は0.5に近づく——偶然が統計へと飼いならされる瞬間です。
やさしく言うと
大数の法則とは、同じ確率的な実験を何度も繰り返すと、結果の平均が理論上の期待値μにどんどん近づいていくという法則です。個々の結果は予測不能なままですが、平均は予測可能になります。
直感
1回の確率的な出来事は揺れ動きます。しかし何千回も積み重ねて平均を取れば、上振れと下振れが打ち消し合い、真の値だけが残ります。標本が増えるほど、1回の幸運が及ぼす影響は1/nのように薄れていく——だから平均は「運を忘れて」期待値に落ち着くのです。
どう作られるか
2つの要素——標本平均x̄ₙと真の平均μ。法則が言うのは、nが増えるにつれてこの差が0に近づくということです。なぜか?標本平均の揺れ(標準偏差)がσ/√nのように縮むからです。nを100倍すれば揺れは10分の1に。投げ続ければ揺れは消え去り、平均はμに固定されます。
例
公正なコインを10回投げると7回表(割合0.7)が出ることも珍しくありません。しかし1万回投げれば表は5000回付近(割合≈0.500)に集まります。サイコロも同様で、多数回の平均は(1+2+3+4+5+6)/6 = 3.5に収束します。
よくある誤解
ギャンブラーの誤謬に注意しましょう。表が5回連続で出たからといって、裏が「そろそろ出る」わけではありません。1回1回はやはり五分五分です。割合が0.5に落ち着くのは過去が「埋め合わされる」からではなく、これから先の膨大な試行が最初の偏りを「薄める」からです。
どこで使うか
保険(多数の契約全体で見た損失率は予測可能)、カジノの控除率、世論調査、モンテカルロ・シミュレーション、品質管理、大規模な標本に基づくあらゆる統計的推定——個々では予測できなくても、集団になると予測できる場面のすべてで使われます。
どこから来たか
ヤコブ・ベルヌーイが没後の1713年『推測法』の中で証明し、自ら「黄金定理」と呼びました。偶然の中に隠れた秩序を数学が初めて証明した瞬間でした。
前提概念
確認問題
公正なコインがちょうど5回連続で表を出しました。次に表が出る確率は?
- 0.5よりずっと小さい
- 0.5✓
- 0.5よりずっと大きい
- 0
練習
公正なサイコロを何度も振ると、平均の値は何に収束しますか?
答え: 3.5
- 期待値 = (1+2+3+4+5+6)/6
- = 21/6 = 3.5
ポイント: 標本平均は期待値μに収束する。
公正なコインを非常に多く投げたとき、表の出る割合は何に収束しますか?
答え: 0.5
- 表が出る確率は1/2
- だから割合は0.5に収束する
ポイント: 長期的な割合はその事象の確率と一致する。
4回連続で表が出たあと、公正なコインの次の1回が表になる確率を求めなさい。
答え: 0.5
- 各回は独立している——過去の影響は受けない
- 確率は依然として0.5
ポイント: ギャンブラーの誤謬——コインに記憶はない。
個々には大勝ちする人が現れても、長期的にはカジノが利益を得る理由を大数の法則を使って説明しなさい。
答え: undefined
- 各ゲームには胴元に有利なわずかな期待値がある(控除率)
- 1回1回は揺れ動く——プレイヤーが大勝ちすることもある
- しかし数百万回のプレイの平均は控除率に収束し、カジノが勝つ
ポイント: わずかな優位×多数回=確実な利益。