級数の収束
“永遠に足し続けても、断片が十分速く縮めば有限な答えになる。”
数式
S = Σ(n=1..∞) aₙ = lim(N→∞) (a₁ + a₂ + ⋯ + a_N); Σ(n=0..∞) arⁿ = a/(1−r), |r|<1読み方: 無限個の項の和は、最初のN項までの部分和が近づいていく極限として定義される
- aₙ
- — 級数のn番目の項
- Σ(n=1..N)
- — 最初のN項だけの有限な和
- S
- — 部分和が近づいていく極限 — 級数の和
- r
- — 等比級数の公比 — |r|<1のとき収束する
きっかけ
無限個の数を足しても、有限な答えになることがある — 1 + ½ + ¼ + ⅛ + ⋯ = 2。
やさしく言うと
無限級数の『和』は、文字通り最後まで足し合わせたものではない。最初のN項の部分和を作り、その値がNを大きくするにつれてある数Sに近づくなら、その級数は『Sに収束する』という。
直感
部屋を横切るのに、残りの距離の半分ずつを進むとしよう:½、¾、⅞、…。壁にはぴったり到達しないが、進んだ距離の合計は1(部屋1つ分)に近づいていく。無限個の断片が、有限な壁の中に収まってしまう。
どう作られるか
大事なのは項aₙがどれだけ速く0に縮んでいくかだ。毎回半分になる(比½)なら、部分和は壁に近づいて収束する。縮み方が遅すぎると、部分和は際限なく大きくなり発散する。等比級数は|r|<1のとき、ぴったりa/(1−r)に落ち着く。
例
Σ(n=0..∞)(½)ⁿ = 1 + ½ + ¼ + ⅛ + ⋯。部分和は1, 1.5, 1.75, 1.875, … → 2。公式ではa=1、r=½から1/(1−½)=2。
よくある誤解
項が0に近づけば必ず収束する?いいえ。調和級数1 + ½ + ⅓ + ¼ + ⋯は、項は0に近づくのに無限大へ発散する。0に近づくことと、十分速く0に近づくことは違う。
どこで使うか
無限小数展開、年金の現在価値、テイラー級数による関数の近似、反復計算での誤差解析 — 無限を有限に扱うあらゆる場面の土台に級数の収束がある。
どこから来たか
ゼノンのパラドックス(アキレスと亀)は2000年以上人々を悩ませてきたが、コーシーが『無限和』を部分和の極限として定義し、厳密なものにした。
前提概念
確認問題
Σ(n=0..∞)(1/3)ⁿ = 1 + 1/3 + 1/9 + ⋯はいくつ?
- 3/2✓
- 1/2
- 3
- 発散する
練習
和Σ(n=0..∞)(1/2)ⁿ = 1 + 1/2 + 1/4 + ⋯を求めよう。
答え: 2
- 等比級数 a=1、r=1/2
- a/(1−r) = 1/(1−1/2) = 2
ポイント: 等比級数はa/(1−r)だけで決まる。
和Σ(n=1..∞)(1/2)ⁿ = 1/2 + 1/4 + 1/8 + ⋯を求めよう。
答え: 1
- 初項a=1/2、公比r=1/2
- a/(1−r) = (1/2)/(1/2) = 1
ポイント: 和がどこから始まるかで初項aが変わる。
和Σ(n=0..∞)(0.9)ⁿを求めよう。
答え: 10
- a=1、r=0.9
- 1/(1−0.9) = 1/0.1 = 10
ポイント: rが1に近いほど、和は大きく膨らんでいく。
調和級数1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 + ⋯は収束する?それとも発散する?
答え: 1
- 項1/nは0に近づくが、速さが足りない
- 部分和は際限なく大きくなるので発散する
ポイント: 項が0に近づいても発散することはある — 調和級数がその証拠。