テイラー近似——曲線を多項式で表す
“テイラー近似は曲線を多項式に置き換える方法。”
数式
f(x) ≈ f(a) + f'(a)(x−a) + ½f''(a)(x−a)²読み方: 1点の近くで、値・傾き・曲がり方を順に一致させながら、曲線を多項式でまねる
- f(a)
- — その点での値——0次:高さを一致させる
- f'(a)(x−a)
- — 傾きを一致させる——1次:接線
- ½f''(a)(x−a)²
- — 曲がり方を一致させる——2次:曲率
きっかけ
コンピュータは sin や eˣ をどう計算しているのでしょう?答えは意外にも、曲線を多項式に置き換えているのです。
やさしく言うと
複雑な関数を、ある1点の近くで、値・傾き・曲がり方が一致するように調整したシンプルな多項式で近似したもの。
直感
ある点で接線を引く(1次)と、その周辺をおおよそまねられます。曲線の『曲がり方』(2次)を加えるとさらにぴったり寄り添います。項を足すたびに多項式は本物の曲線により広い範囲でぴったりと巻きつきます。
どう作られるか
0次は高さ f(a)。1次の項 f'(a)(x−a) が接線を作る。2次の項 ½f''(a)(x−a)² が凹凸を一致させる。項を1つ加えるごとに、その点での微分がもう1階ずつ一致する。
例
a=0 での eˣ:f(0)=1, f'(0)=1, f''(0)=1 → 1+x+x²/2。x=0.1 では 1+0.1+0.005 = 1.105 となり、実際の e^0.1 ≈ 1.10517 とほぼ一致。
よくある誤解
近似が良く効くのは基準点 a の近くだけです。離れるほどずれていき、項を足せば精度は上がりますが、どこでも通用するわけではありません(収束半径)。
どこで使うか
電卓やコンピュータが sin, eˣ, ln を計算する仕組み、物理の微小角近似 sinθ≈θ、工学の線形化——実用計算のいたるところに。
どこから来たか
1700年代にブルック・テイラーが定式化。a=0 を基準にした特別な場合はマクローリン級数と呼ばれます。
前提概念
確認問題
1次(線形)の項までのテイラー近似は、何と同じ?
- 接線✓
- 面積
- 極限
- 2階微分
練習
eˣ の1次(接線)近似 1+x を使うと、x=0.2 での推定値はいくつ?
答え: 1.2
- 近似式:1+x
- x=0.2 を代入 → 1.2(実際の e^0.2 ≈ 1.221)
ポイント: 1次近似は接線であり、近くではかなり正確。
eˣ ≈ 1+x+x²/2(a=0基準)を使うと、x=1 での推定値はいくつ?
答え: 2.5
- 1 + 1 + 1²/2 = 1 + 1 + 0.5
- = 2.5(実際の e ≈ 2.718——ここまで離れると誤差が大きい)
ポイント: 基準点から離れるほど、より多くの項が必要になる。
テイラー展開を使って微小角近似 sinθ≈θ を説明せよ。θ=0 での sin の1次近似は?
答え: undefined
- sin 0 = 0、(sin)'=cos、cos 0 = 1
- 1次:0 + 1·(θ−0) = θ
- よって θ が小さいとき sinθ ≈ θ
ポイント: 物理の微小角近似は、実はテイラー展開の1次項そのもの。